会社のホームページを作るとき、皆さんはこう思っているはずです。問い合わせフォームだけじゃ不親切だ、メールアドレスもちゃんと載せておこう。
電話番号の横に、info@から始まるアドレスを書いておく。普通の感覚です。私も、その気持ちはよく分かります。
でも、そのメールアドレス、載せた瞬間から狙われ始めているとしたらどうでしょう。
bot は、あなたの営業時間より先に動いています
公開したページのソースコードを、機械的に巡回して回るプログラムがあります。人間が読む前提のページから、@マークを含む文字列を片っ端から拾っていく。これだけの仕事をしているbotが、実際にたくさん動いています。
拾われたアドレスは、迷惑メール業者のリストに載ります。載ってしまえば、宛先を変えることはもうできません。あなたが電話に出るより先に、あなたのアドレスは知らない業者の名簿に入っているんです。
「うちは小さい会社だから狙われない」。そう思っていた方が、公開から数日で迷惑メールの洪水に気づく。よくある展開です。
メールを書きたくなる理由も分かります
フォームだけで十分なはずなのに、なぜメールアドレスも載せたくなるのか。理由は単純で、フォームは「何を書けばいいか分からない」という不安を読者に与えるからです。
メールなら、いつものやり方で送れる。件名も自由、添付ファイルも自由。この安心感には、ちゃんと理由があります。
だから、なくせばいいという話ではありません。なくせば読者の安心感も一緒に消えます。問題は、載せる場所とやり方のほうなんです。
全部隠すか、全部出すかではありません
自社のサイトを作り直したとき、私たちはメールアドレスの出し方を場所ごとに変えました。
同じ内容を何度も繰り返し書いていた箇所は、思い切って削りました。フォームへのリンクがすぐ近くにあるのに、そのすぐ下にもメールアドレスを書いていた場所が複数ありました。同じ連絡先を何度も見せる必要はありません。
会社概要のように、住所や電話番号と並べて正式に書く必要がある場所は残しました。ただし、そのままの形では置いていません。人間の目には普通のアドレスに見えて、機械的に文字を拾うプログラムには読み取りにくい形に変えて表示しています。
問い合わせページの「フォームが苦手な方は」という案内は、最初からアドレスを見せる形をやめました。押した人にだけアドレスが表示されるボタンにしています。フォームを使いたくない読者のための入口は残しつつ、機械的に巡回するプログラムには何も渡さない形です。
業種を問わない話です
士業でも、工務店でも、ネットショップでも、ホームページに連絡先を載せるという行為そのものは同じです。だから、ここでの判断は業種を問いません。
載せる場所を絞る。正式に載せる必要がある場所は、見た目を変えずに機械には読みにくくする。フォームが苦手な方への入口は、別の形で残す。この3つの組み合わせで、たいていの状況には対応できます。
一度もアドレスを載せないという選択をする会社もあります。それも間違いではありません。ただ、フォームへの心理的なハードルを考えると、載せる場所を工夫するほうが、多くの会社には向いていると思います。
打ち合わせで制作会社と連絡先の話になったとき、「全部載せるか、全部隠すか」ではなく「どこに、どんな形で載せるか」で聞いてみてください。答え方で、その会社が実際にこの手の対策をやったことがあるかどうかが、たぶん分かります。困ったら、私たちのような制作会社に一度聞いてみるのも手だと思います。
FAQよくある質問
- Qメールアドレスをサイトに載せると、なぜ迷惑メールが増えるのですか。
- A公開されたページのソースコードを巡回して、@マークを含む文字列を機械的に拾っていくプログラムが実際に動いているためです。拾われたアドレスは迷惑メール業者のリストに載り、一度載ってしまうと宛先を変えることはできません。
- Q問い合わせフォームがあるなら、メールアドレスは載せなくてもいいのでは。
- Aなくせばいいという話ではありません。フォームは「何を書けばいいか分からない」という不安を読者に与えることがあり、いつものやり方でメールを送りたいという読者の安心感には理由があります。問題は、載せる場所とやり方のほうです。
- Q具体的には、どんな対策がありますか。
- A同じ連絡先を何度も繰り返し表示している箇所を削る、会社概要のように正式に載せる必要がある場所は人間には普通に見えて機械には読み取りにくい形に変える、フォームが苦手な方への案内は押した人にだけアドレスが見える形にする、といった対応です。