発表された中身と、二つの日付
Instagramが「他人の投稿をそのまま流しているだけのアカウントを、おすすめに出さない」と公式に書いたのは2024年4月30日です。このときの対象はリールでした(Helping Creators Find New Audiences)。
2年後の2026年4月30日、同じ扱いを写真とカルーセル投稿にも広げる、という発表が出ています(Rewarding original creators on Instagram)。どちらもInstagram for Creatorsの公式ブログに残っていて、いま読めます。
出回っている「リポストだけのアカウントはもう伸びない」という要約は、この二つを縮めたものです。縮める過程で落ちたものがいくつかあって、そのうちのひとつは、公式が名指しで勧めている操作でした。
止まるのは推薦の枠で、フォロワーへの配信ではありません
2024年の発表にある表現は「surfaces where we recommend content」、2026年のほうは「places where we recommend content」です。語は入れ替わっていますが、指しているものは同じで、おすすめとして差し出す場所。発見タブや、フォローしていない人のフィードに入る枠のことです。
常設のガイドラインには「recommendations to new audiences」という書き方もあります。まだあなたを知らない人へのおすすめ、という意味になります。
2026年の発表は、この点を日本語版でも一文にして置いています。
このアップデートは、フォローしているアカウントのコンテンツの表示には影響しません。
すでにフォローしている人のタイムラインは対象外だと、公式が自分で書いているんですね。「もう伸びない」がフォロワーへの配信まで含めて言っているなら、公式が書いた範囲を超えています。
公式はリポストを使え、と書いています
見落とされやすいのはここです。他人の投稿を、大きく手を入れずに紹介したい場合はどうするのか。2026年の発表は、その場合の操作を指定しています。
ストーリーズでコンテンツをシェアするか、再投稿を利用します。
理由も添えられていて、これらの機能を使えば元のクリエイターに適切なアトリビューションが付くから、という書き方になっています。
つまり公式は、リポストという行為そのものを処分の対象にしてはいません。Instagramが用意した再投稿機能とストーリーズ共有は、他人の投稿を紹介する正規の手段として名指しで案内されています。制限の対象になっているのは、他人の作品を自分の投稿として上げ直すほうです。
「リポストだけのアカウント」という言い方は、この二つを一語にまとめてしまっています。同じリポストでも、Instagramの機能を使うのと、保存して自分の投稿として上げ直すのとでは、公式の扱いが逆になります。
公式が挙げているオリジナルの例
では何をすればオリジナルとして扱われるのか。2026年の発表には、例が三つ並んでいます。自分で撮影した写真や動画。自分でデザインしたコンテンツ。大幅に編集したコンテンツ。
反対に、意味のある創作が加わったことにならない例も挙がっています。他人の作品を再アップロードするとき、枠線をつける、透かしを入れる、字幕を足す、キャプションでクレジットを書く、といった程度のものです。
常設のガイドラインのほうには定義そのものが置かれていて、英語で読むと、自分がまるごと作ったもの、または自分ならではの視点が表れているもの、となります。
判定は30日を単位にしています。制限を受けたアカウントも、直近30日の投稿の大半がオリジナルと見なされれば、おすすめの対象に戻れると書かれています。該当した場合はアカウントステータスに表示され、そこでコンテンツを削除するか、判定に異議を申し立てるかを選べる、という手順まで公開されているんですね。
検索エンジンの側にある、よく似た一項目
Googleのスパムに関するポリシーに「スクレイピング」という項があります。定義はこうです。
スクレイピングとは、他のサイトのコンテンツを、多くの場合は自動化された方法で収集し、それを検索ランキングを操作する目的でホストする行為を指します。
例として並んでいるものの一つが「他のサイトのコンテンツを、元のソースを引用もせず、独自のコンテンツや価値を加えずに転載する」。処分のほうは「Google のポリシーに違反しているサイトは、検索結果での掲載順位が下がったり、まったく表示されなかったりすることがあります」と書かれています。
重なる線と、重ならない線
| 判定の軸 | 意味のある創作が加わっているか | 独自のコンテンツや価値を加えているか |
| 対象の単位 | アカウント | サイト |
| 扱い | おすすめの枠に出さない | 順位が下がる、または表示されない |
| 判定に要る条件 | 頻度と比率(直近30日の大半) | ランキングを操作する目的があること |
| 影響が及ぶ範囲 | まだ知らない人へのおすすめ | 検索からの流入 |
| 戻り方 | 直近30日の大半がオリジナルなら戻る | ポリシーに沿った状態に直す |
重なっているのは、判定の軸を付加価値の有無に置いている点です。どちらも単位が投稿1本やページ1枚ではなく、アカウントとサイトという束のほうに付いているんですね。削除やアカウント停止ではなく、配る量を減らすという扱いにしているところも同じです。
ただ、並べてみると重ならない部分のほうが多いという結果になりました。いちばん大きいのは、Googleの定義に「ランキングを操作する目的で」という条件が入っていることです。引用や転載が一律に違反になる、とは書かれていません。Instagramの側にこの条件はなく、頻度と比率で決まります。
同じ思想で作られた仕組みというより、目的の違う二つの配り方が、たまたま同じ一線に来ている、という見え方になります。
どちらにも書かれていないこと
Instagramは、オリジナルとして扱われる例を肯定の形でも挙げています。Googleのスパムポリシーにこれに当たる書き方はありません。あるのは、独自の価値を加えていない複製は順位が下がることがある、という否定の形だけです。
そのうえで、両方に見当たらないものがあります。一次情報を持っていれば伸びる、独自の取材をすれば上位に出る、という書き方は、どちらの公式文書にも出てきません。
Googleには、コンテンツを自分で点検するための問いを並べたページがあります。「コンテンツは、独自の情報、レポート、研究または分析の結果を提示しているものですか」といった問いです。ただしこのページの位置づけは自己点検で、順位を決める要素として公開されているものではありません。E-E-A-Tについても、それ自体が特定のランキング要因ではない、と明記されています。
ですから、ここから先はわたしたちの判断になります。他人の情報を右から左に流すだけでは配る量が減る、というところまでが公式に書かれていること。自分のところにしかない情報を持っておいたほうがいい、というのはそこから先の意見です。
自分の投稿とページが、どちら側にあるか
手がかりとして使えるのは、公式が挙げている例のほうです。
アカウントの直近30日の投稿を並べて、他人が作ったものに枠線や字幕を足しただけのものが何本あるかを数えます。それが大半を占めているなら、主にオリジナルでない投稿を上げている、という公式の言い方に近い状態です。紹介したいだけの投稿が混ざっているなら、上げ直しではなく再投稿機能かストーリーズに寄せれば、そもそも数に入りません。
サイトのほうも同じ見方ができます。他社の情報をまとめただけのページ、商品説明を仕入元からそのまま貼っただけのページ。そこに、自分の会社でなければ書けない一文が入っているかどうか。
この確認を済ませたあとに控えているのは、名前で探しに来た人に何が見えているかを見る作業です。おすすめの枠に出るかどうかと、名前で検索した人の画面に何が並ぶかは別の経路で、後者はSNSで見た人が検索するときのほうにまとめました。
FAQよくある質問
- Qリポストをすると、おすすめに出なくなりますか。
- AInstagramが用意している再投稿機能とストーリーズ共有は、他人の投稿を紹介する方法として公式が勧めているものです。制限の対象になっているのは、他人の作品に意味のある編集を加えないまま、自分の投稿として上げ直すほうです。それが直近30日の投稿の大半を占めた場合に、おすすめの枠に出なくなります。
- Q制限を受けると、フォロワーにも投稿が届かなくなりますか。
- A2026年4月30日の発表に「このアップデートは、フォローしているアカウントのコンテンツの表示には影響しません」と書かれています。止まるのは発見タブのように、まだあなたを知らない人へおすすめとして差し出す枠のほうです。