COLUMN — 求人サイト

採用動画を作る前に、自社の採用ページで何が読まれているかを見ておく

採用動画、そろそろ作ったほうがいいんじゃないか。そう思って調べはじめると、制作会社の記事がずらっと並びます。やったほうがいい、というところは、たぶん合っています。ただ順番の話だけ先にさせてください。作るかどうかを決める前に、一度だけ見ておくと安く済むところがあります。

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採用動画をやったほうがいいというのは、たぶん本当です

採用動画、そろそろ作ったほうがいいんじゃないか。そう思って調べはじめた方が多いと思います。

インスタでもよく流れてきます。求人票だけの会社はもう選ばれない、動画がないと比較にも乗らない。ああいう投稿を見たあとで検索すると、今度は制作会社の記事がずらっと並びます。

やったほうがいい、というところは、たぶん合っています。私も反対はしません。あって困るものではないですし、見た人の受け取り方が変わるというのも、そうだろうと思います。

先にお願いしたいのは順番の話だけです。作るかどうかを決める前に、一度だけ見ておくと安く済むところがあります。

応募を決める直前に開かれていたのは自社のページでした

マイナビが2024年の7〜8月に実施した調査があります。対象は、直近3年以内にアルバイトの仕事を探したことがある人。そのうち85.9%が、仕事探しでHP・採用ページを閲覧すると答えています。10代から60代まで、全年代で「閲覧する」が8割を超えました。

いつ見るのかも聞いていて、いちばん多かったのが「応募を検討するタイミング」で90.9%。次が「面接の準備をするタイミング」で40.6%です。

つまり、見られている山は応募ボタンを押す直前にあります。知ってもらう場面ではなく、決める場面のほうなんですよ。

対象がアルバイトの仕事探しなので、この数字をそのまま正社員の中途採用に当てはめることはできません。ただ、応募の直前に自社のページが開かれているという形そのものは、雇用形態で大きく変わるものでもないと思います。

そこで見られているのは待遇と実際の業務です

同じ調査が、応募を検討するときに採用ページで何を確認するかも聞いています。いちばん多かったのが「待遇」で52.9%。次が「実際の業務」で42.0%、「仕事の魅力や難しさ」が39.9%と続きます。

求人票に書いてあることを、もう一度確かめに来ています。

こう書くと拍子抜けするかもしれません。せっかく採用ページを作るなら、求人票では出せないものを載せたい。社員の顔、一日の流れ、職場の空気。そう考えるのが自然です。

ところが応募を決める人は、その手前で止まっています。給料はいくらで、何をする仕事なのか。そこが書いていないと、雰囲気がどれだけよく伝わっても先に進めません。

会社の想いは、思っているより下にあります

厚生労働省の令和6年版労働経済の分析に、仕事を探したときに絶対条件として重視した点を並べた図があります。(株)リクルートの「求職者の動向・意識調査」をもとに厚生労働省が作成したもので、対象は正社員、新卒以外、最近1年間に仕事探しの経験がある人です。

2023年の数字で「給与」は男性44.6%、女性47.1%。同じ図に「会社の理念、ビジョン」も並んでいて、こちらは男性14.3%、女性13.4%でした。3倍以上の開きがあります。

先ほどのマイナビはアルバイト、こちらは正社員。対象も設問も別なので、二つが一致した、とは言えません。言えるのは、別々の調査が同じ方向を向いている、というところまでです。

理念を書くなという話ではありません。順番の話をしています。待遇と業務が埋まっていない採用ページに理念を足しても、読む人はそこまで降りてきません。

厚生労働省が令和6年3月に出した「求職者等への職場情報提供に当たっての手引」には、求職者が求める情報の項目が並んでいます。その中で、育児休業や短時間勤務といった両立支援の情報について、特に子育て中の場合、これらが開示されていない企業には応募しないという意見があった、と注が付いています。ヒアリングをもとにした記述なので割合は出ていませんし、対象も子育て中の求職者に限った話です。それでも、書いていないことが応募しない理由になる、という形は同じでした。

動画の数字を読むときに、一緒に見ておく一行

ここまで来て、では動画はどうなのか、という話に戻ります。

株式会社moovyが2026年6月に公表した「採用動画のトレンド調査2026」があります。条件が同じ2社で迷ったときに採用動画の有無や質が最終判断に影響するかを聞いたところ、「大きく影響する」が29.1%、「やや影響する」が58.6%で、合計87.7%が影響すると答えています。

一緒に見ておきたいのが、調査概要に書かれている回答者の条件です。直近1年間で就職活動か転職活動の経験があり、採用動画を1つ以上見たことがある20代から40代の333名。つまり全員が、すでに採用動画を見た人なんですよ。求職者全体のうち何割が動画に動かされるか、という数字ではありません。

同じ調査で、動画を見て実際に応募したと答えた人は26.1%です。87.7%と26.1%は別の設問なので引き算はできませんが、影響したという答えと、応募したという答えは、この幅で並んでいます。

出所を書いておくと、moovyは採用動画のサービスを販売している会社です。先ほどのマイナビは採用サイト制作サービスを持っていますし、労働経済の分析が使っているリクルートの調査も、求人メディアを運営する会社のものです。どれかが不正確という話ではなく、この分野で数字を出しているのは、たいてい何かを売っている側だということです。

この記事を書いている私たちも同じで、採用サイトを作っている会社が「応募の直前に見られているのは採用ページだ」と書いています。読むときはそこも込みで読んでください。

なお、この記事に入れなかった数字もあります。出所が二つあって値が食い違っていたものは、どちらが正しいか外から決められなかったので使いませんでした。

順番だけ決めておけば、あとから足せます

社内で採用の話になったとき、動画をやるかやらないかの二択にすると、たいてい止まります。予算の話になって、効果の話になって、そのまま宿題になります。

順番で話すと通ります。応募を決める人はまず採用ページを開いて、待遇と実際の業務を見ている。だからそこを先に埋める。動画はその上に載せるもので、下が空いている状態で載せても支えるものがない。

見るところも一つで足ります。自社の採用ページに、給料と仕事の中身が求人票と同じ粒度で書いてあるかどうか。書いてあれば、次は動画で構いません。書いていなければ、そこが先です。

媒体と自社サイトのどちらに手をかけるかで迷っている場合は求人媒体と自社採用サイトの役割に、求人が検索結果に載る仕組みについてはIndeedと求人ボックスへの載り方に書きました。

次に誰かから、うちも採用動画をやったほうがいいですかね、と聞かれたときに、やるかやらないかを答えなくて済みます。採用ページに待遇と業務は書いてありますか、と聞き返せば、その人が自分で順番を決められます。

FAQよくある質問

Q採用動画は作らなくていいということですか。
Aそうではありません。この記事が書いているのは順番の話です。応募を決める直前に開かれているのは自社の採用ページで、そこで確認されているのは待遇と実際の業務でした。そこが埋まっていれば、次は動画で構いません。埋まっていない状態で動画だけを足しても、応募を決める人が見ている場所に届きません。
Q「採用動画があると87.7%が判断に影響する」という数字は間違いなのですか。
A数字そのものは公表されているとおりです。ただし回答者が、直近1年間で就職か転職の活動をしていて、なおかつ採用動画を1つ以上見たことがある333名に限定されています。求職者全体のうち何割が動画に動かされるか、という数字ではありません。同じ調査で、動画を見て実際に応募したと答えた人は26.1%です。
Q採用ページに理念やビジョンを書くのは無駄ですか。
A無駄ではありません。順番として下に置く、という話です。厚生労働省の令和6年版労働経済の分析では、仕事を探したときの絶対条件として「給与」を挙げた人が男性44.6%・女性47.1%、「会社の理念、ビジョン」は男性14.3%・女性13.4%でした。待遇と業務が書かれていない状態で理念を足しても、読む人がそこまで降りてきません。

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